臨界直径(りんかいちょっけい)    [r03]

【用語の意味】

焼入れした丸棒の中心部が50%マルテンサイトになるときの直径(D0:ディーゼロ)。焼入れ冷却速度が無限大の場合には、理想臨界直径Dで表現する。

【補足説明】
臨界直径や理想臨界直径というのは、熱処理用語だけの世界の感じがする。40年熱処理に携わっていて、それを業務に役立てた記憶がない。それでも、熱処理講習会では、この話が出る。私自体も、言葉の意味は知っていても、現在の状況で、どうしてこれが重要なのかもわからない。正確な内容でないが、私なりにわかった感じになる程度の説明をしてみる。

U曲線の例

焼入れ性の低い材料では、この上図のように、理想冷却における炭素量と硬さの関係があるので、ある鋼材の臨界直径が知りたければ、いろいろな直径のものを焼き入れて、その中心硬さを測れば臨界直径はわかる。

Uカーブなどの結果も利用できる。断面硬さと上記の硬さで、ある程度のマルテンサイト量は予想できる。
しかし、例えば、新しい鋼種の確性試験でこれらを求めようとすれば、大変なことである。

もっと簡単な方法にはジョミニ焼入れ性試験を使うことができる。ただし、ジョミニ試験は水冷なので、急冷度の補正がいるし、ジョミニ試験片の外周からの放熱があるので、その検討は難しいし、丸棒への適用となると問題もあるが、過去にはそれらについていろいろ研究されているデータもある。

60年以上前のデータで北海道大学のHPデータによると、CCT曲線でのパーライトノーズを切ればマルテンサイト以外の組織になるまでの時間的余裕があるので、「半冷時間(焼入れ温度と室温の中間温度まで冷却するまでの時間)」と硬さの関係でジョミニ試験と対応させた研究があった。つまり、「同じ冷却速度で焼入れすると同一硬さになる」ということを前提にして、ジョミニ試験の水冷端からの距離と半冷時間、丸棒の半径などとの関係がわかることになる。

昔の人は素晴らしい研究をしていたと感心させられるし、そういうことが求められていた時代なのかもしれないが、さて、繰り返すが、今、このようなことが必要とは思えない。(すみません)

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