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用語集
亜共析鋼 共析鋼(約0.8%Cの炭素鋼)より炭素量が低い鋼。0.8%以上は過共析鋼。
アズキュー 「焼入れしたまま」に対する慣用的な業界用語。圧延したままの「アズロール」などの呼び方もある。As-Quench。
油焼入れ 焼入れ冷却で、油中で冷却する方法。他に、水焼入れ、空気焼入れなどがある。通常の油温は60℃程度で、100℃を超えると油が劣化する。焼割れ防止や恒温処理のために高温用油(ホットオイル)を用いる場合がある。
アモルファス 非晶質。ガラスなどの結晶化しない物質。鉄鋼も、強加工などでナノ化することで非晶質になることが知られている。
α(アルファ)鉄 純鉄での911℃以下で安定な状態。体心立方晶。他の元素を含む場合は、フェライトとも呼ばれるが、α鉄、純鉄、フェライトは同意で用いられることも多い。
アロイング 高エネルギー(レーザー・電子ビームなど)を用いて、鋼の表面に他の物質の化合物を形成させる処理。
アンダーハードニング 高速度鋼を正規の焼入れ温度よりかなり低い温度で焼入れし、低温焼戻しすると、高じん性が得られるが、他の特性が損なわれることもあり、近年では行われていない。
安定化処理 時間経過にともなう、寸法や組織の変化を防ぐことを意図した熱処理。.→残留オーステナイトの安定化
異材混入 熱処理では、指定の鋼種以外のものが混じったり、間違った材料のまま熱処理することでの不具合。
インゴットパターン マクロ組織観察などで、製鋼時の造塊・凝固の際の成分の偏りなどが目視できるもの。
ウイドマンステッテン組織 過熱組織の一つで、特定の結晶面に沿って新しい特徴的な相がみられる。一般的には、好ましくない組織。
HQ-HT JISの加工記号で、焼入れ焼戻しのこと。
エイジング Aging: 時効処理のこと エージングとも
H鋼 ジョミニー試験による硬さ範囲を保証して鋼材。たとえばSCM440に対しSCM440Hというように鋼種名の末尾にHを付加してある。
鋭敏化 ステンレス鋼などの粒界に炭化物などが析出することで、粒界腐食の感受性が高くなることを言う。鋭敏化することは良くない場合がほとんど
エコーチップ 商品名。ポータブルな、反発硬さ計の一種。「equotip」
エッチング 顕微鏡組織を見るために、表面を酸などを用いて腐食すること。
エムエス(Ms)点 焼入れ冷却中にマルテンサイトが生成し始める温度。マルテンサイト変態が終了する温度はエムエフ(Mf)点。
塩浴熱処理 塩浴炉(ソルトバス)を用いて行う熱処理。
王水 硝酸と塩酸を混合した腐食液。顕微鏡組織観察の際に用いる。
応力除去焼なまし 加工歪みや応力を開放する目的で、変態点以下で行う低温焼なまし。これにより、見かけのひずみ(曲がり量)は増加する場合もある。
オーステナイト γ鉄固溶体を言い、鋼をこの状態に加熱してから焼入れなどの熱処理操作をする。焼入れ後に鋼中に残ったものを残留オーステナイトという。
オーステナイト化 鉄鋼の組織がオーステナイトに変態する温度に加熱すること。
大越式試験機 大越式迅速摩耗試験機。荷重、摩擦速度などの条件を簡単に変えて試験が行えるので、工具鋼の耐摩耗性評価で用いられることが多い。
オーステンパー 焼入れ冷却時に、パーラートノーズ温度以下からマルテンサイト化温度までに保持して変態させた後に空冷する熱処理法。強靭性付与効果などがある。
オーステナイトの安定化 残留オーステナイトをその分解温度以下で焼戻しした場合などで、マルテンサイトなどへの変態が起こりにくくなること、またはその処理。
オーバーヒート 過熱。特に焼入れで、目的温度を超えて加熱することを言う慣用的な言い方。
押し込み硬さ 圧子を押し込むときの荷重や押し込みにくさで表現した硬さ。JISには、ブリネル硬さ。ビッカース硬さ、ロックウェル硬さなどが規定されている。

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加圧冷却 雰囲気炉や真空炉などの炉中冷却の際に窒素ガスなどの圧力を上げて冷却速度を上げること。油冷に近い冷却速度が得られるが、大風量になるほど、歪み発生の懸念がある。
カーボンポテンシャル 雰囲気の炭素濃度。過熱の際に、それが母材の濃度よりも高いと浸炭し、低いと脱炭する。
介在物 非金属介在物の日常的な言い方。一般的には、これが少ないほうがよい。
回復 冷間加工したものを、再結晶温度以下に加熱して、組織の変化を少なくした状態で機械的性質などをもとの状態に近づける処理。低温焼なましを行うこと。。
火炎焼入れ鋼 バーナーなどで加熱後、放冷することで焼入れ硬化するように作られた鋼種の総称。焼入れ性が良いために、通常の油焼入れなどをして用いられる場合もある。
拡散 分子が熱によって移動する現象。これによって、析出、再結晶、浸炭などが進行する。
拡散焼なまし ソーキング。製鋼時に高温のオーステナイト状態で加熱して、均質化を図る方法。
加工熱処理 塑性加工と熱処理を組み合わせて行うもの。高強度化やじん性低下の抑制などの目的で鍛造などと組み合わせて行うもの。
加工方法記号 JISによる、加工の方法を示した表示記号。 熱処理では、焼入れ焼戻しはHQ-HT、完全焼きなましはHAFなどがある。
加工誘起マルテンサイト 塑性変形や衝撃などの外力を加えることで、残留オーステナイトなどがマルテンサイトに変態したもの。
過時効 析出硬化型ステンレスなどで、時効温度を上げすぎて、硬さが低下し、じん性等が増す状態。オーバーエイジングともいう。
カスタムナイフ 趣味などで製作するオリジナル形状のナイフのこと。
ガス焼入れ 窒素ガスやアルゴンガスなどで冷却する焼入れ方法。真空炉や雰囲気炉で冷却を早めるなどでは、大量のガスを封入する。ガス量を増やして冷却する方法を、加圧冷却という。
硬さ換算表 硬さ試験機による相互の硬さを換算するための数表。JISの規定がないが、SAE-J-417によるものがJISハンドブック巻末に掲載されている。
硬さ基準片 硬さ試験機の精度保持のために作られたもの。テストピースなどと呼称されることもあるが、JISの要求を満たしていないものは、硬さ基準片とは呼ばない。
硬さ推移曲線 硬化層の表面から内部の硬さを示した図表。通常は、切断面を測定する。
加熱時間 昇温時間、均熱時間、保持時間、トータル加熱時間・・・などいろいろな表現があるので注意が必要。通常は、目的温度に達してからの保持時間。
加熱速度 過熱の際の、時間に対する温度の変化。℃/分など。瞬間を示す場合と、温度区間の平均を示す場合がある。
過熱 目的温度を超えて加熱し、結晶粒の増大など好ましくない状態が起こる状況。オーバーヒートともいう。
炭化物 炭素と金属元素の化合物。硬さの高いものが多く、耐摩耗性向上に寄与する。
完全焼なまし 組織調整と軟化のために、A1変態点直上で加熱した後に徐冷する処理
γ(ガンマ)鉄 910-1400℃程度の純鉄の安定した状態。面心立方晶で常磁体。他の元素を含む固溶体をオーステナイトという。
機械試験 硬さ、じん性、強さなどの機械的性質を調べる試験。引張試験、衝撃試験など。
吸収エネルギー シャルピー衝撃値などのように、試験片を破断するときに費やされた力。これが大きいと耐衝撃性が高い。
旧JISの硬さ 過去のJIS規格には、構造用鋼などについて、標準熱処理における機械試験値や硬さが掲載されており、その硬さを指す。(慣用的な表現語句)
球状化焼なまし 炭化物を球状化させて、焼なまし硬さをより低くし、加工性などをよくする焼なまし。
共晶炭化物 製鋼時に、溶液からオーステナイトになるまでに析出して、熱処理などでは固溶しない炭化物のこと。1次炭化物ともいう。硬い炭化物は耐摩耗性に寄与するが、じん性の低下もある。
凝着摩耗 一つの摩耗形態。金属間すべり面などで生じる一般的な摩耗形態。種別・圧力・摩擦速度・摩擦距離・潤滑などが関係する。そのほかには、土砂摩耗などがある。
矯正 熱処理などで出た歪み(曲がり)を除去すること。ロールなどで冷間矯正するものや、熱を加えながら外力を加える場合など様々な方法がある。
強靭性 シャルピー衝撃値などの衝撃じん性と同意で使われている。
共析 1つの固溶体から2つの固相が密に混合した状態で生じたもので、鉄炭素系では約0.85%Cが共析鋼。それより少ないCを亜共析鋼、多いものを過共析鋼という。
金属顕微鏡 金属の組織を観察するために用いられる反射式の顕微鏡。50~1000倍程度の観察が一般的。近年では、デジタル機器を連動させて写真や画像観察するものが多い。
均熱 温度を一定にたもって加熱すること。
空気焼入れ 空気中で放冷して硬化させる焼入れ法。焼入れ性の良い鋼種に適用する。扇風機を使う場合は、衝風(しょうふう)空冷での焼入れという。
空冷 加熱後に空気中で放冷すること。扇風機(ファン)を用いて冷却する場合も多く、冷却速度や硬さなどを調整する場合には、ファン空冷や衝風空冷などと称される。
クエンチ Quench : 焼入れのこと。
クライオ処理 サブゼロ処理のうち、特に、液体窒素などを用いて-100℃以下に冷やす処理。
黒染め(黒化) 光輝面を酸化媒体に浸漬して、表面に四三酸化鉄などの黒色の薄い層をつける処理。1ミクロン程度で油分とともに用いることで防錆効果がある。
形状記憶合金 チタンとニッケルの合金が有名。低温ではオーステナイトで、変形させるとマルテンサイト相になり、それを温度を上げるとオーステナイトになって元の形状に戻る。
経年変化 室温で長期間経過して寸法や形状が変化すること。これを防ぐために、安定化処理や時効処理などが行われる。
結晶構造 鋼は熱を加えると結晶構造(分子の並び方)が変化する。焼なまし材は体心立方(BCC)であるが焼入れ温度に加熱すると面心立方(FCC)のオーステナイトになり、硬化してできたマルテンサイトは体心正方晶(BCT)・・・などに変化する。
結晶粒度 顕微鏡観察したときの結晶粒の大きさ。オーステナイト~やフェライト~などがJISに規定されており、粒度番号であらわす。番号の大きいほうが細粒。
結晶粒の粗大化 Ac3をはるかに超える温度で長時間加熱するなどで、結晶粒が大きくなること。粒度番号が小さくなること。
はがね。鉄中の炭素量が2%程度までの合金。その他の合金との化合により、2%以上のものも含まれるが、遊離炭素があれば、鋳物に分類される。
恒温熱処理  塩浴などの恒温槽をつかってする熱処理。オーステンパー、マルクエンチなども参照ください。 
恒温変態曲線 TTT曲線。時間・温度変態図。
高温焼戻し 工具鋼で2次硬さが出る鋼種を500℃以上の高温で焼戻しすること。これに対して、200℃程度で行う焼戻しを低温焼戻しと呼ぶ場合がある。
硬化層 焼入れ硬化した部分。
硬化深さ JISでは、高周波焼入れなどで、有効硬化深さ、全硬化層深さ、最小表面硬さ、有効硬化層の限界硬さなどが定められている。
光輝熱処理 保護雰囲気中などで行う熱処理で、表面の酸化や脱炭を防止し、表面の光輝状態で熱処理することの総称。ただし、未加工時の金属光沢(表面肌)とは異なる場合が多い。
合金元素 高温の液体状態で溶けて、鋼中に固溶するか炭化物などの化合物を形成する元素。Cr・Moなどの多くはレアメタルに分類され、鋼の価格にも影響する。
工具鋼 工具、治具などに使用される鋼材で、熱処理によって得られる性能も多岐にわたり、類似鋼種も多い。このためにJIS名ではなく、メーカー名で呼称する場合も多い。
鋼材 圧延、鍛造、鋳造などで所要の形状に加工された鋼の総称。したがって、鋼塊(インゴットなど)は鋼材ではないといえる。
高周波熱処理 高周波誘導加熱による熱処理の総称。高周波焼入れ、高周波焼戻し、高周波焼なましなどがある。周波数や硬化深度によって、中周波・低周波などと分類され称される場合もある。
高速度工具鋼 高炭素高合金鋼で、高温焼戻しにより、切削時の高温に耐える。古くは4%Crを基本にしてモリブデン系とタングステン系に分かれていたが、近年では、さらに高合金化した粉末高速度鋼や高じん性の「セミハイス」と呼ばれる鋼種がある。
高張力鋼板 加工性・溶接性などを維持しつつ、引張強さを高めた鋼板で、規定では340N/mm?(35kg/mm?)以上とされるが、通常は400N/mm?以上をさすことが多い。
五感温度 熱処理では、古くから目や肌などの五感で感じる温度で熱処理されていた。日立金属のカタログには、色温度や焼き戻し色などで、今もそれを伝えている。(本文参照)
固溶化 すでに析出している炭化物などの構成物を固溶体中に溶け込ませること。溶体化ともいう。(溶体化処理を参照)
固溶体 2種以上の元素による固体の結晶質。元素の構成によって、置換型固溶体と侵入型固溶体がある。

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再結晶 冷間加工などで塑性歪みを受けた結晶が、適当な温度の加熱によって、核の生成と成長で、加工前の結晶のようになっていく現象。
細粒鋼 オーステナイト結晶粒度が5以上(例えば8など)のものをいう。しかし、工具鋼などでは、5では、不満足とされることも多いので注意。
材料の方向性 圧延などによる製造過程で伸延方向とその直角方向では異なる場合が多い。衝撃値や組織、熱処理による寸法変寸量や機械的性質などは材料取り方向で異なる。それを考慮して品物を加工する必要がある。
サブゼロ処理 通常は、焼入れ冷却時に、0℃以下に冷やす処理をいう。残留オーステナイト低減による硬さ上昇、経年変化減少などが目的。-100℃以下はクライオ処理と呼ぶこともある。
残留オーステナイト 焼入れ硬化後に常温で鋼中に残留するオーステナイト。およそ400℃以上の焼戻しで分解を始め、600℃でほぼ消失する。その功罪については、諸説がある。
残留オーステナイトの安定化 残留オーステナイトが自然にマルテンサイトなどに変化しないように、低温焼戻しや常温での長時間放置をすること。
残留応力 熱処理中の温度や変態によって発生し残留した応力。応力とは、品物の内部に発生する単位面積当たりの力で、大きく分けて、引張応力と圧縮応力などとして作用する。
シーズニング 枯らし。鋳物の内部応力を低減させるために、長時間放置すること。低温焼戻しによって、その期間を短縮することもある。
時間・温度変態図 TTT曲線。等温変態曲線。オーステナイト状態から、各温度において、等温保持変態の開始と終了時間を示した図。
時間焼入れ 焼入れ中に、水や油などから一時引き上げるなどで、冷却速度を調整する焼入れ方法。段階焼入れ、中断焼入れなどと同意。硬さ、変形などの調整のために行われる。
磁気変態 強磁性体⇔常磁性体の変化。鉄鋼では、結晶構造の変化はない。鉄-炭素系状態図には、210℃付近のセメンタイトの磁気変態点A?と780℃付近のA?(キュリ-温度)が示されている。
時効処理 時効硬化処理・エイジング処理。温度を加えて、時間変態を促進させる処理で、硬さ、耐食性などを変化させる方法。  →参照:析出硬化。過時効
自己焼戻し オートテンパーまたはセルフテンパーともいう。焼入れの過程で品物の持つ内部の熱により、焼戻しが進むこと。
JIS硬さ 旧JISに示された標準的な熱処理をした場合の参考硬さをさす、慣用的な表現。
質量効果 質量や断面寸法が大きくなるにつれて、焼入れ時の表面硬さの低下や硬化深さの減少が生じるが、それが大きいと「質量効果が大きい」などと表現する。
銃刀法 カスタムナイフなどを自作する場合はこの法律に注意する。刃渡り15㎝以上は所持禁止、6cmを超えるもの、5.5cmを超える剣は携帯が禁止されている。当社では、違法品の熱処理を受託しない。
衝撃試験 シャルピー衝撃試験が多く行われる。試験片形状が種々あり、低合金鋼では2mmUノッチの3号試験片が多いが、工具鋼では、JISにない10Rノッチの試験データも多い。
初析の炭化物 溶けた状態の鋼を冷却して凝固させる際に、オーステナイト中に析出する炭化物。1次炭化物ともいう。高炭素高合金工具鋼の多くでは、耐摩耗性向上に寄与する。
ジョミニー試験 ジョミニ1端焼入れ性試験。25mm径の端面を水冷して、その外周面の硬さ推移で焼入れ性を評価する試験法。普通は水冷であり、焼入れ性の高い鋼種などには不向き。
真空熱処理 真空中で行う熱処理の総称。窒素ガスなどを使った低真空状態のものも含む。
真空焼入れ 炉内で真空または減圧した不活性ガス中で焼入れする熱処理法。焼戻しまで真空で行って光輝状態に仕上げる場合は、完全真空・オール真空と区別して呼称されることもある。
浸炭 鉄鋼表面の炭素量を増すために、浸炭剤または浸炭雰囲気中で加熱すること。最近は、焼入れ処理まで同時に行うことが多い(浸炭焼入れ・直接焼入れ)
深冷処理 サブゼロ処理、クライオ処理など冷媒を用いて0℃以下で行う処理の総称。
水じん 高マンガン鋼(または鋳物)などの固溶体化処理で、オーステナイト加熱温度から水冷して常温でオーステナイト状態にする処理。
スクラップ 廃材のこと。「スクラップ=安物」と考える人もいるが、リサイクルされた良質な鉄スクラップは高級鋼の製鋼に欠かせないものである。
ステンレス ステンレス鋼。古くは、不銹鋼と呼ばれる。耐熱、耐酸化性、耐薬品性などの特徴あり。現在は、フェライト系、オーステナイト系、マルテンサイト系、析出硬化型、2相系などと呼ばれるものがある。
ズブ焼入れ  熱処理業界用語で、全体焼入れのこと。
清浄度 鋼中に含まれる非金属介在物の度合い(%) 非金属介在物は少ないほうがよい。
青熱ぜい性 鋼を300℃付近で加熱すると、引張強さなどの増加と伸びなどが低下して脆くなる現象のこと。この温度範囲の焼戻しを避けるのが良いとされている。
析出 固溶体から移送の結晶が分離成長する現象。鋼では、2次硬化のように、多くは、硬さ上昇が伴う。
析出硬化 高合金鋼などで、焼戻し温度を上げたとき、炭化物が凝縮(析出)し硬化すること。高温焼戻しにおける500℃以上での2次硬化も同様。
セメンタイト Fe3Cであらわされる鉄の炭化物。
遷移温度 低温域では、衝撃値が低下し、破面が脆性破面になる温度。簡便的に、脆性破面率が50%になるときの温度としている。
ソーキング 拡散焼きなまし。主に、製鋼時に鋼塊の組織を均質化するための処理。
ソルト熱処理 塩浴を用いて、それに浸漬して加熱や冷却を行う熱処理。塩浴熱処理。
ソルバイト マルテンサイトを焼戻しした時に生じる組織で、セメンタイトとフェライトの微細混合組織。これはパーライトの一種で、さらに微細なものは、トルースタイト。焼入れ時に高温処理(オーステンパー)を行うことでもこれらの組織が得られる。

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体心立方晶 結晶構造の一つ。BCC。
脱炭・脱炭層 加熱中に鋼中の炭素が失われる現象。表面部で脱炭が生じて炭素量が規定以下になった部分が脱炭層。脱炭の程度で、全脱炭や拡散脱炭などに分類する場合もある。
探傷試験 表面の割れや傷を検査する「染色探傷試験(カラーチェック)」「磁粉探傷試験(マグネチェック)」や、内部欠陥を調べる「超音波探傷試験(エコーチェック)」その他の方法がある。
地きず 鋼の仕上がり面で、肉眼で見える、ピンホールやブローホールなどで、非金属介在物や砂などの異物で生じる。通常、加工傷や割れは含まない。
窒化 表面層に窒素を拡散浸透させて表面硬化させる処理。ガス窒化、プラズマ窒化、真空窒化、軟窒化、液体窒化などいろいろな種類・方法があり、加工する各社で独自の処理名をつけている場合が多い。当社も、DS(ディーエス)ハードと称する各種の処理を行っている。
中断焼入れ 焼入れ冷却途中に水や油から引き揚げて、焼割れ・変形防止や硬さ調整などを行う方法。時間焼入れ、段階焼入れなどと同意。
超合金 鋼の耐熱性や耐食性を高めるためにNiなどの合金成分を大量に添加したもので、およそ、鉄の含有量が50%以下のもの。
超サブゼロ クライオ処理。 一般には、-100℃以下の温度での深冷処理。
調質 構造用鋼などで、焼入れ後に450℃以上に加熱して、均質性と強靭性を調節する処理。
直接焼入れ 浸炭。浸炭窒化後に焼入れすること。浸炭焼入れ。
DS(ディーエス)ハード 第一鋼業が行う窒化処理の呼び名。化合物層を変えた各種の処理を行っている。
低温ぜい性 室温又はそれ以下の温度で、衝撃値が急激に低下して脆くなる現象。どんな鋼にもある現象。
低温焼なまし A1変態点以下で加熱する焼なましで、軟化(軟化焼なまし)、応力除去(応力除去焼きなまし)などのために行う処理
電子ビーム熱処理 電子ビームを用いて加熱する熱処理の総称。
テンパーカラー 焼戻し後の着色=焼戻し色。光輝面を焼戻しした時にみられる酸化被膜色。温度によって変化し、雰囲気や鋼種によって若干異なる。
等温焼なまし 組織調整と軟化のために、焼なまし温度に加熱後に、それより低いパーライトが生成しやすい温度で保持して、等温変態させ、空冷する焼なまし方法。
特殊溶解 慣用的な用語で、ESR溶解や真空溶解などを指すことが多い。
とりべ分析値 溶鋼分析値。溶鋼が鋳型に入れられるときに取鍋(とりべ・とりなべ)から採取した試料による分析値。通常は、ミルシートにはこの値が表示される。
トルースタイト マルテンサイトを焼戻しした時に生じるフェライトとセメンタイトの微細組織。焼戻し温度を上げると、トルースタイト→ソルバイト→パーライトと変化する。恒温変態による焼入れ時の処理でも生じる。

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ナイタール 金属組織観察用の腐食液。硝酸をアルコールで希釈したもの。その他、鉄鋼では、ピクラール(ピクリン酸)、酸化第2鉄溶液などの腐食液が使用されるが、腐食液が変わると組織の見え方も異なる。
内部酸化 表面から拡散した酸素によって、内部に向かって酸化物が進行すること。特に、結晶粒界に進行しやすいために、それは粒界酸化と呼ばれる。通常は好ましくないもの。
軟化焼なまし 硬さを低下させるために、A1変態点以下で加熱する熱処理。低温焼なまし。通常は750℃程度に加熱後、空冷する。完全焼きなましのほうが硬さは低くなる。
軟点 焼入れで硬化しないか他よりも柔らかい部分のこと。通常は好ましくないもの。
2次硬化 高合金鋼などでは、500℃程度以上の焼戻し時に再硬化する現象。炭化物の析出や残留オーステナイトがマルテンサイト、ベイナイトなどを生成による。
日本熱処理工業会 熱処理業界の組織。当社は、その傘下の、西部金属熱処理工業組合に加盟して活動している。
抜き取り検査 通常の熱処理品質は全数検査をするのはまれで、通常は、技術的な妥当性の確認を行って、社内規格で定めた抜き取り検査が行われるのが通例。
熱処理 金属製品に要求される所要の性質を付与する目的で、雰囲気、加熱、冷却、圧力、電磁気などの組み合わせで行う処理をいう。
熱処理加工のJIS規格 焼ならし及び焼なまし、高周波焼入れ焼戻し、焼入れ焼戻し、浸炭及び浸炭窒化焼入れ焼戻し、窒化及び軟窒化のほか、溶接後熱処理方法の規定などがある。
熱処理操作 熱処理の際に行う行動。加熱、冷却などの操作。
熱電対 サーモカップル。熱電温度測定に用いられる検出端で、K熱電対、R熱電対など多くの種類があり、種類・線径で耐用温度が異なる。通常は保護管に入れて用いられる。シリカなどを封入して一体化したシース熱電対などもある。
熱処理変形 熱処理歪み(ひずみ)。熱処理中の温度の不均一や変態による体積変化などで生じる形状変化。異形のものはその予測が困難である。硬さが高くなったり品物が大きくなると矯正できない場合も多く、仕上げ代をつけて熱処理後に加工するなどを考えないといけない。
熱浴焼入れ 温度を上げた溶融塩などに浸漬して焼入れする方法。ソルト焼入れ。これを使って、オーステンパーなどの恒温熱処理も可能。

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ハードニング Hardning : ここでは焼入れ硬化させること
バーニング Barnning: 加熱温度が非常に高くなった時(オーバーヒート)に、結晶粒界が溶融し、組織や性質が急変する状態。 この状態になると、熱処理では元の組織に戻せない。
パーライトノーズ 恒温変態曲線で、パーライトに変態する時間が短い部分。充分に焼入れする場合は、パーライトノーズにかかってパーライトが生成しないような速度で冷却する・・・というように説明される。
ハイス High Speed Steel :高速度工具鋼鋼材のこと。近年は、粉末ハイスやセミハイスと呼ばれる分類が加わっている。
鋼(はがね) 鉄と炭素の合金で、炭素量がおおむね2%以下のもの。炭素以外の合金が加わることで、若干、定義の範囲が変わる。
肌焼き鋼 浸炭や浸炭窒化などをするための鋼で、炭素量を抑えて強靭性を増した鋼種の総称。最終製品では、表面が硬く、内部が強靭性のあるものにできる。
バッチ炉 一定の品物を炉内に入れて加工する横型の炉。縦型は「ピット炉」と呼ばれる。これらに対して、連続的に処理する「連続炉」がある。
パテンチング ばね鋼・ピアノ線などを高強度化するために、焼入れ温度から熱浴などで急冷するなどで、線引き加工や圧延に適した組織を得るための熱処理。
刃物鋼 JISの用途分類にはないが、刃物用途に使用される工具鋼の総称。
反発硬さ 硬い品物が反発力が強いとして、反発高さや速度を測ることで硬さを評価するもので、ショアー硬さがよく知られている。
半冷曲線 日立金属では、鋼材の焼入れ性を、焼入れ温度と常温の中間温度(半冷温度)になるときの硬さで評価しており、これを用いて、大径材の表面や中心硬さを推定できる。
非金属介在物 鋼の凝固過程で、鋼中に析出したり巻き込まれるもので、A系B系C系に分類される。快削鋼などの特殊用途鋼を除き、いずれも、少ないほうがよいとされる。
微小硬さ 測定荷重が200g程度以下で測定される硬さ。通常の熱処理では、マイクロビッカース微小硬さ試験機などで測定するものを指す場合が多い。
ひずみ取り 矯正。曲がり除去。冷間で加圧して行う方法のほか、様々な方法がある。
ひずみ取り焼なまし 歪み除去のために、荷重をかけながら加熱する処理。焼入れ品では、焼戻しを兼ねるか、焼戻し温度以下で外力を付加して行うのが通例。応力除去焼なましと混同される場合も多いが、これは、矯正や加工後に、その応力を除去するために、焼戻し温度以下で行う場合の意味合いが強い。(参照:応力除去焼なまし)
火花試験 グラインダーで鋼の表面を削った時の火花の様子や形状で、鋼種や合金成分を判定する試験方法。技能と熟練度が要求されるが、安価で簡便な分析法である。
比摩耗量 摩耗試験での条件を合わせて、鋼材同士を比較するために用いる指標。通常は、相手材、摩擦速度、負荷荷重、摩擦距離などを固定して比較することで耐摩耗性の比較に用いる。
ひも付き 鋼種やその仕様に応じた鋼材が、メーカー~鋼材問屋~需要先で定まっている流通形態を言う慣用的な呼称。これに対して、一般に流通する鋼材を「市中品」「店売り」などと呼ばれる。
ひやしバメ 冷やし嵌め。入れ子になる品物の中側を液化炭酸ガスや冷蔵庫などで冷やして嵌め合わせる方法。これに対して、外側を加熱する「焼きバメ」もある。
表面改質 表面処理などによって鋼材の表面の性質(化学的、機械的)を改善すること、またはその作業。一般的には、何らかの性質が向上するものをいう。
表面硬さ 金属表面の硬さ。通常の熱処理硬さ検査は表面硬さを測定する。これに対して、切断面を測定する、断面硬さ・内部硬さ・・・などもある。
不完全焼入れ 「完全焼入れ」に対応する用語。焼入れ後に表面各部位や表面と内部で硬さや組織に差があるものを指す場合が多いが、良否をいうものでもなく、あいまいな表現。
不具合 熱処理では、硬さ不良、変形・変寸などが要求されるものと異なる場合をいうが、発生原因は多岐にわたる。(本文参照)
腐食液 金属表面を観察する場合に、組織などを見やすくするために、選択腐食または着色用の薬品。多種類あり、種類や濃度、浸漬時間などによって、見え方が変わるので注意。エッチング。当社では通常、硝酸アルコール溶液(ナイタール)をよく使用する。
部分焼入れ 一部分だけを焼入れ硬化すること。全体加熱後一部を冷却材につける場合や、ソルトバスで一部浸漬して加熱する場合、高周波焼入れ・・・など、様々な方法が行われている。
プラズマ熱処理 グロー放電によるプラズマを用いる熱処理の総称。プラズマ浸炭・プラズマ窒化など、多くの熱処理に応用されている。
プリハードン鋼 すでに熱処理済みで、硬さが調整されて販売される鋼材。多くは、機械加工ができる硬さ(45HRC程度以下)のものが主流で、プラ型(プラスチック成型用金型)鋼や鍛造型鋼などがある。
フレームハード鋼 火炎(バーナー)焼入れ後に、放冷することでも十分な硬さが得られるように成分調整をした鋼材。焼入れ性が良いので、その特徴を生かして、全体焼入れをして用いられることも多い。
プレスクエンチ 焼入れの際に、金型などで固定して、変形などを抑制する焼入れ方法。プレス焼入れ。
プレステンパー プレス焼戻し、金型焼戻しのこと。焼戻しの際に、金型や治具などで矯正又は固定して焼き戻しする方法。
雰囲気熱処理 炉内の雰囲気を、目的によって調節して行う熱処理。窒素・アルゴンガスなどの不活性ガス、水素の還元性ガスを用いるほか、酸化性、浸炭性、窒化性などの雰囲気もある。
噴霧焼入れ 水などを噴霧して焼入れする方法。水中に冷却するより、冷却速度が速い。水以外の冷却剤を噴射する場合は、噴射焼入れともいう。
ベイキング 電気メッキ、酸洗、溶接などの作業後に、生成し、吸着して水素を放出するために、200℃程度で加熱する処理。
平衡状態図 通常は、鉄炭素2元系のものをさす。熱処理を学ぶ基本の図で、現在では、炭素量による鋼の位置づけやオーステナイト化について理解するために用いられている程度。
ベイナイト 焼入れなどでパーライトが生成する温度とマルテンサイトが生成する温度の間で生じる組織。常温硬さも、ソルバイト(トルースタイト)とマルテンサイトの中間。
ベイナイト焼入れ じん性などを付加する目的で、冷却速度の調整や恒温処理によってベーナイト組織を得る焼入れ方法。
変形 熱処理により生じた変形。ひずみ・熱処理ひずみともいう。寸法変形と形状変形があり、寸法変形を変寸として区別する場合がある。
偏析 合金元素や不純物が不均一に偏在すること。これにより、機械的性質などが不均一になるため、通常は好ましくない。
変態 温度を上昇または下降したとき、結晶構造が変化する現象。オーステナイト変態、マルテンサイト変態など。変態点・変態温度は、それが生じる温度。
炎(ほのお)熱処理 火炎熱処理・フレーム熱処理なども同様。バーナーなどで加熱する熱処理。
ポリマー焼入れ剤 水溶性焼入油、ソリブルなどと呼称される。ポリアルキレングリコールなどの水溶液などで、冷却能を調整できる半面、管理面で難点もある。

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マスエフェクト 質量効果のこと。形状が大きくなると冷却速度が遅くなることの意味。
マトリックス 素地ともいう。高合金鋼などで、共晶炭化物を除いた組織部分を表現するときに用いられる用語。
マトリックスハイス 炭素量を低く抑えて共晶炭化物を少なくした上に、マトリックス中の合金元素を高めることで、高い硬さでじん性、耐熱性などを高く保つように設計された高速度鋼に分類される鋼種。
マルエッチ 「焼入れ」の慣用的な用語。現場的には「マルエッチする」などの使い方もあり、すでに調質済みの鋼材を「マルエッチ材」等と呼ぶ。焼ならしされた材料は「マルエヌ材」、焼なまし済み材は「マルエーザイ」なども同様の熱処理業界用語。
マルエージ 析出硬化型ステンレス鋼のように、低炭素でマルテンサイトを生じる鋼を、固溶化処理した後に行う析出硬化処理。このための鋼を、マルエージング鋼とも呼ばれる。
マルクエンチ 焼入れ時に、マルテンサイト化する温度直下の温度の塩浴などに焼入れして、等温になった後に空冷するなどで、ゆっくりマルテンサイト化する方法。近年は、マルテンパーと同意で説明される。焼割れ変形防止が目的。
マルテンサイト 鋼を焼入れしたときに生じる硬い組織で、元のオーステナイトと同様の化学組成の体心立方または体心正方晶の組織。焼入れ冷却中は、Ms点以下では、温度低下に伴い生成量が増すので、「Msまではパーライトなどの生成を抑えて早く冷却し、Ms点に達してからは、焼割れや変形を抑えるために、ゆっくりと冷やす」・・・などの熱処理操作説明をされる場合が多い。
マルテンパ 焼入れ時に、マルテンサイト化する温度直上の温度にした塩浴などに焼き入れ、等温になるまで保持して空冷する方法で、歪みの軽減、焼割れ防止を目的。Ms点以下の温度で等温に保持して空冷する方法はマルクエンチというが、同意で用いられることも多い。
ミクロ組織 顕微鏡で観察される組織。通常100~400倍程度で腐食して観察する。これに対して、肉眼で観察するものを「マクロ組織」という。
水焼入れ 水冷する焼入れ法。油冷は、油焼入れ。近年、工具鋼も高合金化し、水焼入れする鋼種は少なくなってきている。
ミルシート 検査成績書のこと。多くは、鋼材メーカーが発行する、鋼材検査成績書のことを指す場合が多い。
無心焼入れ 中心部まで硬化した品物にする焼入れ。反対語は「有芯焼入れ」。JISには「ずぶ焼入れ」とあるが、これは、「全体焼入れ」の意味が強い。
面心立方晶 結晶構造の一つ。Fcc。オーステナイト組織がこれに当たる。

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焼入れ 鋼をオーステナイト化温度から急冷して硬化させる処理。焼入れすることでマルテンサイトやベイナイト組織になる。通常は、焼戻し処理を含み、焼入れ+焼戻しが一連の作業となる。
焼入れ硬化層深さ 焼入れで硬化した層の深さ。硬化層深さともいう。表面熱処理において、JISでは、有効硬化層深さと全硬化層深さなどについて規定している。
焼入れ性 焼入れ硬化しやすいことを表現する性能。指標はなく、表面硬さが高いことや硬化深度が深いかどうか・・・を表現する言い方。
焼入れ性曲線 ジョミニー曲線。ジョミニー一端焼入れ性試験方法によって得られた、焼入れ端からの距離と硬さの推移を示す曲線図。
焼入れ性倍数 合金元素を添加したときの理想臨界直径と添加しない時のそれの比。Mn、Crなどの焼入れ性を高める元素量とともに、それは大きくなる。
焼なまし 残留応力の除去(応力除去~)、硬さの低減・延性の向上(軟化~)、冷間加工性の改善・組織の調整(完全~や球状化~)、ガス不純物の放出・組成の均質化(拡散~)など目的で行う。
焼ならし 通常は、機械構造用鋼などをオーステナイト化温度から空冷する処理で、結晶粒の微細化や機械的性質の改善調整のために行う処理。
焼戻し 焼入れした品物を、700℃程度以下の温度に加熱し、硬さや組織を調節する処理。高合金工具鋼などでは、500℃以上の処理を、特に、「高温焼戻し」ということも多い。
焼戻しぜい性 構造用鋼などを焼戻し後に徐冷すると、衝撃値などが低下する現象。300℃付近の青熱脆性、500℃付近の一次焼戻し脆性、それ以上で生じる高温脆性などがある。JISなどでは、それを防止するために、焼戻し後に「急冷」と表現しているが、焼戻し加熱後に水冷や油冷をすることで脆化を防ぐ。
焼戻しパラメータ 通常の焼戻し曲線は焼戻し温度とその硬さの関係を示すが、焼戻し硬さは温度と時間の関数であるとして、その関係を表したもの。
焼戻しマルテンサイト 250℃程度以下で焼き戻した状態のマルテンサイト。βマルテンサイトと区別して呼ぶ場合がある。強靭性があり、硬さも高いために、冷間工具などは、この状態で使用される。
焼割れ 焼入れによって生じる割れ。熱応力、変態応力などが複合して、応力集中によって生じるとされる。
低合金鋼では、焼が入りにくく強度の弱い隅部などから割れる場合が多いとされるが、その他の現象も多々ある。
U曲線 Uカーブという。円柱状の試験片を焼入れして、その横断面の表面~中心~反対表面の硬さを図示したときに得られるU字状の曲線を言う。
有効加熱帯 加熱設備で、品物を許容温度範囲に保持できる寸法領域。許容温度範囲は熱処理の目的によって異なる。制御位置の温度とは異なる場合もあり、通常は、決められた方法で測定する。
溶体化処理 固溶化処理と同じ。合金成分を鋼中に溶け込ませた温度から急冷して、その析出を阻止する方法。オーステナイト系ステンレス鋼などで耐食性などを向上させる処理。
予熱 変形防止や加熱時の温度均一性を増す目的で、目的の加熱温度以下のある温度に加熱保持すること。

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流動槽熱処理 セラミック微粉などを流動させた槽中(流動床ともいう)で行う熱処理。鉄鋼での使用例は少ない。
粒子分散強化 鋼では炭化物など異質の微細分子が組織中にあると強化する。鋼の強化機構には、析出、固溶、析出、粒子分散があるとされ、熱処理によってもこれらを操作する。
臨界直径 焼入れした丸棒の中心部が50%マルテンサイトになるときの直径(D0:ディーゼロ)。焼入れ冷却速度が無限大の場合には、理想臨界直径Dで表現する。
臨界冷却速度 マルテンサイト変態を生じるための最小の冷却速度。
レアアース レアメタルの内、希土類元素17種をさし、磁石用のネオジムや蛍光体のイットリウムなどがある。多くは中国で産出され、産出量の半数が日本で消費されている実情。鋼に対する特性などはあまりわかっておらず、今後に期待。
レアメタル 地殻中の存在量が少ないか、採掘コストがかかるなどの非鉄金属で、Mn,Cr,Mo,Wなど、特殊鋼に含まれる合金元素の多くはこれに入る。相場が形成されるなど、鋼材価格変動の要因にもなっている。
冷却剤 焼入れに使用する液体などの総称。水、ポリマー水溶液、油、ガス、塩浴剤などがある。
冷却速度 冷却の際の冷え方を示す、時間に対する温度の変化。瞬間の速度と、区間の平均を表す場合があるので注意。
レーザー熱処理 レーザー加熱を用いる熱処理の総称。
連続冷却変態曲線 CCT曲線。縦軸に温度、横軸に時間をとり、焼入れ温度から等速冷却したときの温度推移と常温硬さを示した図。
熱処理では「加熱炉」のこと。
ロックウェル硬さ ロックウェル硬さ試験機を用いて測定した硬さ。C・A・Bなどのスケールがあり、測定方法が異なる。Cスケールを用いたHRC硬さがよく用いられる。
露点 雰囲気中の水分が凝縮し始める温度。浸炭炉では、これを測定してカーボンポテンシャル(炭素濃度)を管理する。

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