硬さおよび硬さ測定

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熱処理の「硬さ」について

硬さ試験機について

一般的な「硬さ」の管理

熱処理品の硬さ測定

ロックウェル硬さ

ショアー硬さ

硬さと機械的性質

硬さの相互間の関係 換算表


   

熱処理の「硬さ」について

熱処理における「硬さ」は、硬さ試験機での測定値で表しますが、まず、ここで、硬さに関する呼び方について簡単に紹介します。

硬さを「硬度」という方も多いようですし、古くは「カタサ」とも表記されていました。また、日常的に、硬さ試験機を「硬度計」、 硬さ基準片を「テストピース」と呼ぶ人が多いのが現状ですが、ここでは、基本的には、JISに表記されたもので説明しています。

ブリネル硬さ試験機で測る「**HB」、ショアー硬さ試験機で測る「**HS」などの数値は、JISなどでは、硬さ試験機、硬さ基準片、硬さ測定方法・・・ などによって標準化され、また、それらはトレーサビリティー(国家基準値に至るまでの追従性が保証されていること )の仕組みが出来ていますので、 国内外のどこでも通用する、非常に便利なものになっています。

熱処理における硬さは、機械的性質を決める重要な品質要素ですので、商取引(熱処理依頼)上、大変重要な位置にあります。硬さの相互間の関係も、 硬さ換算表が一般化しているために、不便を感じません。しかし、硬さに関する基本事項を理解していないと、クレームなどにつながる、危険な点がたくさんあります。ここでは、それを確認しながら硬さについて見ていきます。

「硬さ」は、①非破壊で試験できて、②測定が簡便で再現性が高いことと、③硬さと引張り強さ、硬さと衝撃値などの機械的性質の相互関係がわかる・・・などの仕組みが出来ています。
つまり、これによって、特別に機械的な破壊試験をしなくても、硬さ試験でその近似や推定ができるという便利さがありますので、 通常の取引(熱処理の依頼事項や品質保証)においては、非常に重要なものです。


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硬さ試験機について

硬さを測定するための試験機は、いろいろなものがあり、またその変遷もありますが、ビッカース硬さ試験機、ロックウェル硬さ試験機、ブリネル硬さ試験機、 ショアー硬さ試験機などがJISにも規定されて、これらが、比較的に幅広く用いられています。
当社でも、これらを保有していますが、特に、ロックウェル硬さ試験機、ショアー硬さ試験機を常用しています。

上の4つの硬さ測定の原理は、 ①ダイヤモンドなどの非常に硬い物を押し込んだ時の圧子の侵入形態で評価するもの(ビ ッカース、ブリネル、ロックウェル)  ②硬いものはよく反発するということを数値化したもの(ショアー)に分類されます。

この4つの試験機以外にも、さまざまな硬さ試験機があります。
たとえば、超音波振動を加えて硬さとの関係を数値化したもの(JFEアドバンテックの「SONO HARD 」や、硬さの異なる「やすり」で、そのひっかかり方で硬さを推定するもの(山本化学工具研究社の「Hardnester」)や、マルテンス硬さ(HMと表記される。 過去にはユニバーサル硬さHUと呼ばれた)なども、よく似た考え方に基づいているようです。さらに、 ショアーと同様の反発硬さで、速度や力の変化を電気的な処理をして評価するリーブ硬さ(HLと表記される)などもあります。スイス製のエコーチップもそれにあたりますが、 これらは、リバウンド式硬さとも呼ばれ、過去にはJISにショアーE型として規定されていました。
当社でも、いろいろなものを使用しますが、それぞれに一長一短があります。このため、現状では、JISに規定されているロックウェル、ショアー以外はほとんど使用していません。
さらに、上記の試験機を縮小したもの、ポータブル化したもの・・・ などがあって、種々の試験機が販売されています。用途に応じて使いなれることが大切だと思います。

近年は、それぞれの試験機に、電子的な技術や便利な機構が加わって、計測や結果集計などがスムーズかつ便利に行えるようになってきており、 上記の4種の主要試験機の硬さに換算する機能や試験値の統計的な管理機能などが付加されるなど、大変便利になっています。

硬さ試験機およびそれによって得られた硬さ値は、日常的、定期的に管理する必要があります。
当社では、JISや日本海事協会検定(NK)などの規格に沿って管理し、トレーサビリティーが得られている状態になっていますので、硬さについての問題が起きにくい仕組みができています。
ただ、これに要する費用は高額で、なおも増加の傾向にありますが、測定した硬さ値を保証するために必要な要件であるので、 手間や出費は避けることができないという問題もあります。


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熱処理業者における一般的な「硬さ」の管理

硬さは、商取引の上でも重要な取引指標となっていますので、試験機精度や測定方法等については「管理」された状態にしておく必要があります。

熱処理加工におけるJIS表示許可やISO9001 の認証を取得している企業においては、硬さ測定や硬さに関する基準が確立されていますので、 安心して品質評価がされていると考えてよく、事前取り決めをしなくても大きな問題生じないような仕組みができています。

しかし、問題が皆無というわけではありません。まず、根本的な問題から説明します。
JISなどに規定されていて保証されるのは、「硬さ試験機と硬さ基準片を用いた硬さ」だけです。そのために、実際の品物には、いろいろな大きさや状態がありますので、 その硬さ評価をする際には、いろいろな注意しなけらばいけない問題があります。

測定する品物は、ナイフのような薄く小さいものから、非常に大きく重い品物までありますし、また、設計図面に書いてあるというだけで、 要求者(お客様)が硬さ試験方法すらわからないまま、そこに示された数値を要求される場合もしばしば見受けられます。これは、指定された試験機が使えない、 指定された位置が測定できない、再現性のある硬さ測定ができない・・・などの問題がありますが、その結果をお互いが納得できない・・・という場合も出てくるような不具合例もあります。

事前にこのような問題が予想されても、ほとんどは、「代替試験機で測定して、換算表を利用して、要求される硬さ評価をする」ということで解決できるのですが、本来「硬さは、指定された試験機で測定する」というのが基本ですし、品物の測定によって得られた硬さは、小さな硬さ基準片の硬さを測る場合とは同じ条件にはなっていない・・・ということなどを理解していない人には、事前の打ち合わせをする以外に不具合を防ぎきれないこともありますので、注意しなくてはいけません。
現実的には、図面などに指定された試験機が使えない場合は少なくありません。代替の試験機で測定した硬さを「硬さ換算表」を使って換算値で判定する場合でも、 苦言を呈するお客様もおられます。そして、その理由などを説明して、納得いただくのも、硬さの知識がない人には、大変な場合が出てきます。

このような問題を回避するために、熱処理品を受託する際には、測定位置、測定方法、 検査個数などを取り決めておくことが基本になります。 しかし、ISOやJISなどの認証取得している企業では、それらの規格を踏まえて、 抜き取り方式や測定の基準など、社内基準にそって測定をする仕組みを作っていますので、普通は、事前に個々の打ち合わせをしなくても大きな問題が生じないようになっているのですが、初期品の場合は、事前に確認するのがいいでしょう。
個別に特別な検査をするともちろん費用もかかりますので、 それらを含めて事前に協議するに越したことはないでしょう。


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熱処理品の硬さ測定

硬さの測定方法はJISなどに規定されていますが、実際の品物すべてを含んでいませんので、測定に対する技量が必要です。特にショアー硬さを手持ちで測定する場合や、ロックウェル硬さ試験機で異形状品を測定する場合などには経験が必要で、 JISの文言通りに測定しても、正しい硬さが得られないことも多くなります。
これらに限らず、一般の品物の硬さを、「再現できるように正しく測ること」は難しいものですので、測定者の技量認定などを行って、正しい硬さを測れるようにしておかなければなりません。

また、硬さ測定値を判断(決定)する技量も重要です。硬さ試験片の硬さ測定時以上に、一般の品物では、測定するたびに異なった値になる場合が少なくありません。そのために、その測定数値の処理方法だけでなく、そのばらつき理由を、鋼材の熱処理特性、 重量・形状、硬さ測定面の表面粗さ・・・などの広い知識とそれに対する経験的な技量を基に決定しなければなりません。

ここでは、測定方法や基本事項を説明しているのではありませんが、硬さ測定での不具合が発生しやすい内容のいくつかを紹介します。

(1)一般的な測定の仕方

ロックウェル硬さ試験機を用いて、焼入れ焼戻しした1kg程度の小さい品物を測定する場合を考えてみましょう。
硬さを測るには、測定面、試験機の測定台に接する面の手入れをします。熱処理肌を直接測る場合は少ないと考えていいでしょう。 通常は、正しい硬さを測るために、グラインダーなどで表面を少し掘り込んで検査します。

このときの掘り込み深さは、熱処理の方法によって変わりますので、依頼側(お客さん)も受託側(熱処理業者)ともに、 測定位置と熱処理後の仕上しろを事前に確認するようにするといいでしょう。

特別の指定がない場合は、①品物の作用面(硬さの必要な部分) ②仕上げしろのある部分 ③中央部などの安定部分  ④製品となった時に目立たない部分 ・・・  などで測定することになります。

次に、品物を試験機に載せて測定をしますが、安定に密着させるために、測定位置の反対面をバフグラインダーやサンドペーパーなどで手入れをします。 測定面の表面粗さと両面の平行度、試験機と品物の密着性が重要です。また、表面は6S程度以下仕上げないと、硬さが低く測定されてしまいます。

また、意外と見落とされがちですが、測定台(アンビル)との密着面の表面粗さが粗かっ たり密着度が低い場合も同様です。


(2)測るところ・測り方によって、硬さ値が変わります

JIS規格には、例えば、 ロックウェル硬さにおいては、2mm程度以下の厚さの品物や、測定面が平面でない場合などについて、 誤差が大きくなる場合の測定方法の制限や形状による測定値の補正について記述されています。その他の試験方法でも、注意事項があります。

補正については、当社の場合の考え方を示していますが、ロックウェル硬さ計で凸面を測定した場合には、測定値が実際よりも低くなるために、プラスの補正をすることになりますが、当社では、測定位置での測定値をそのままの値で表示しますので、実際の品物は表示値よりも高い硬さになっていることになります。たとえば、JISの付属書によれば、円柱面の補正値は、 曲率半径12.5mmの品物の硬さが60HRCで0.5、40HRCでは1.0となっており、 無視するには大きい硬さであることを知っておく必要があるでしょう。(次項を参照ください)

【重要】通常の測定では、形状による補正はしません。

当社の熱処理品検査では、このような曲面の補正はしないで、測定した値をそのまま表示しています。これは、 「指定部分の硬さを示す」という考え方が基本になっているためで、例えば、中心部まで焼入れ硬化するSKD11 のφ10×50(mm)の丸棒の外周を測る場合と、端面を測る場合では、測定値が1.0HRC程度差異があることになります。熱処理依頼をする場合は、 これを知っておかないと、思わぬトラブルになります。
当社での『硬さ補正』とは、「試験機精度や硬さ試験片で得られた硬さの誤差を補正すること」で、形状による硬さ値の調整はしないということになっています。

次のような(1)~(3)の注意しておいたほうがいい例を紹介します。
(1)ロックウェル硬さ計では、10kgを超える品物の場合は、硬さ計の躯体強度からも測定は不適ということになっていますが、現実的には、 そのような大きなものでも「HRCの硬さ指定」があれば、ロックウェル試験機で測定しています。それは確かに『ロックウェル硬さ計を用いたロックウェル硬さ値』 であることに変わりがありませんが、正しい硬さかどうかわからない内容を含んでいます。

(2)品物の周辺部では、荷重が逃げるために正しい硬さが測定できていません。製品に傷が残るのを恐れて、 端面で測るように指定するのはわかりますが、これも同様に、その部分の硬さが示されているだけで、 本体中央の硬さと同じであることは保証されていないことになります。

(3)ショアー硬さ計では、小さなものの測定には不向きで、小さい品物を測る考慮はされていません。この場合も、 指定された部位をショアー硬さ試験機で測った結果であるというだけのものです。

その他にも硬さ値に関するいろいろな問題があります。加工者(測定者)側がこのような言い方をするのは、変なことかもしれませんが、これらには、非常に重要なポイントが含まれます。
たとえば、ロックウェル硬さ計で、「この部分を測定すること」と指示されている場合、その部位や指定が、本来の値を示していないということを検査者が感じても、それをどうするのかを検査者が判断するのは難しいことですので、この場合は、設計者や受注時に仕様を決める際の知識は非常に重要になります。それを考慮できるか、理解しているか・・・などが製品品位に影響することにつながることを覚えておいても損がないでしょう。


(3)事前取り決めがなくても、暗黙的に日常作業が行われています。

あらかじめ、仕様を取り交わしたり、検査仕様を決めておくことは必要不可欠のことですが、 現実的には、リピート品であったり 、 形状を見て経験的に判断できる・・・ということで、事前に取り決めが行われない場合がほとんどです。つまり、受発注の際に、 硬さ範囲が明示されておれば、それ以外は、熱処理のプロに「おまかせ」になっているのがほとんどのようです。

これは、お互いが信用しているということかもしれませんが、事前に仕様を取決めないことでの問題が皆無であるとは言えません 。たとえば、熱処理する側は、「測定できる位置で検査する」「指定の試験機が使用できない場合は、他の試験機を用いて 『硬さの換算』をして判定する」ということは自明のことと考えていますし、反対に、依頼する側は、「使用面は検査痕を残してはいけないので、 目立たないところで測定するのは当然」「HRCという硬さ指定をしているので、当然、それで測ってもらえるはず」と いうように、それぞれが都合のよいように考えているかもしれません。

このようなことでクレームが発生すれば大変です。繰り返しになりますが、やはり、不具合発生を未然に防ぐためには、事前の仕様確認が大切です。

「硬さ換算」についても、注意しなくてはいけません。本来は、 事前に検査内容を打合せしてあればそれで作業しますが、それがない場合で、 当社の基準で処理を進める際には、①測定しやすい試験機を用いて、②硬さ換算表を使用して換算します。検査成績書にそれがわかるように表示していますが、見ていない方も多いようです。

このように、ほとんどのお客様は、 硬さについては熱処理加工者側を信頼していただいているか、または、それを意識していないかのどちらかですので、何も打合せがなければ、 慣例的に換算表によって要求する硬さで表示するのが通例となっていますが、これで問題がないわけではありません。上に示したように、大きな品物になると、 HRCの重量制限のためにHSで測定する場合がありますが、この場合に、もし、それを無理にHRCで測定すると、硬さ換算表の値とは違った値になってしまうのですが、こうなると、どちらの硬さが正しいのかということもわからなくなります。
これらを理解いただけるように説明するのは、大変難しいことですので、紹介にとどめます。

(4)抜き取り検査が基本です。そして、硬さが測定できない品物は?

通常の熱処理品の最終検査は、全数検査ではなく、ほとんどは、抜き取り検査になります。また、同一鋼種でよく似た形状のものについてなどは、 さらに抜き取り個数を減らして検査をするようにします。これは、検査手間を減らすと同時に、できるだけ検査痕を残さないためですが、検査個数がすくないと不安に考える人も多いでしょう。しかし、逆に、検査個数を増やしても、測定の不確かさが増加しますので、 検査精度が必ずしも向上するとは限りません。それでも不安なら、事前に協議する必要があります。

そして、検査時の圧痕や測定部分が残ってはいけない場合もあるでしょう。この場合には、テストピース(別に準備した測定用の試験片)を同時に熱処理して、それを検査して代用することや、まったく硬さ検査をしない場合もあります。硬さ検査をしない場合には、温度記録や工程記録で処理内容を保証することになります。この場合には、実態とテストピースの熱処理状態に差異が出ないかどうかの検討が必要なのは言うまでもありません。

(5)測る人の技量が影響します

通常の熱処理完了後に行う硬さ検査は、硬さ測定や判定のためだけでなく、目的の熱処理が正しく行われているかどうかの確認をする作業ですので、 試験機の管理に加えて、検査者が正しい硬さ測定の方法知識を習得しており、測定技能を持っているかどうかや、 鋼材や熱処理の知識があるかどうかが測定値に影響します。
たとえば、鋼種によっては、焼入れ性の影響で、表面の硬さむらが出やすいものがあることや、表層が脱炭するなど、目に見えない変質が発生している場合に、 それを発見したり、対処するためには、検査に対する知識以外の関連知識が求められます。
つまり、人的要素が関係するといえますので、JISやISOの認証工場では、検査作業者の技能を認定して、一定の技量を携えた人が 検査するような仕組みを作っており、 これで硬さ全般を保証していることになっています。

次に、簡単に、ショアー硬さ試験機とロックウェル硬さ試験機について触れます。


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ロックウェル硬さ

繰り返し再現性に優れ、硬さ値が直読できるために、最も広く用いられている一般的な試験方法です。測定の原理は、 圧子を押し付けた時の進入深さが基準になっていて、 硬いものほど侵入しにくいということになります。

硬さ測定に先立って、圧痕の大きさや再現性などで、どのスケールを選定するのかを決めますが、一般的に鉄鋼では 、 ダイヤモンド製の圧子に150kgの荷重を加えて押し付けた時の、圧子の進入深さから硬さを求める「Cスケール」が使用されることが一般的です。

「HRC」はロックウェル硬さ試験機のCスケールで測定した硬さ値です
ロックウェル硬さの測定風景

Cスケール以外のスケールには、60HRC以上の硬い品物にはAスケールが、非鉄や極軟質材などで25HRC以下の比較的軟らかい品物に対してはBスケールなどが使用されます。

ロックウェルC硬さは、HRC=100-(h/0.002)[hは侵入深さ]と規定されており、「ある荷重で圧子を押し込んだ時の進入深さ」を測りますので、 硬さが軟らかいと侵入深さが深くなります。
計算では、60HRC→0.08mm、30HRC→0.14mmで、微妙な差しかありませんが、見た目には大きい検査痕の違いに見えるでしょう。 これは、 圧痕の周囲が盛り上がった部分で圧痕の大きさを見ているためで、油砥石でその盛り上がりを均してみると、あまり差がないようになりますが、 それほど微妙な寸法差で硬さを測っていることに驚かされます。

硬さ値が「0以下」の数値になる場合も出てきますが、この範囲では、使うべきではないでしょう。
測定時の圧痕を小さくしたいときや品物の厚さが薄い場合などには、Aスケール(荷重60kgf)での測定をする場合や、 ロックウェルスーパーフィッシャル試験機などの、 負荷荷重の小さな試験機で硬さ試験をしたほうがいい場合もあります。負荷荷重が小さいので、 侵入深さが小さくなるためです。(このロックウェルスーパーフィッシャル硬さを測定する試験機はロックウェル硬さ試験機と異なります)


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ショアー硬さ

ショアー硬さの測定原理は、 ダイヤモンドをつけたハンマーを試料面に落して、その跳ね上がり高さで硬さを測定するもので、 鋼の最高かたさを100HSとしてその間を100等分しているというものですが、「硬さの高いものは跳ね上がり高さが高い」という原理に従って硬さ値が決められています。

ショアー硬さ測定風景大きなものに対しては、治具を用いて、品物の測定面が水平になる等にして測定しますが、ショアー硬さ計は、固定して測定するだけでなく、測定筒だけを外して測定できますので、持ち運びがしやすく、大きな品物の硬さを測ることができますし、 何よりも、測定も簡便なために、広く用いられています。

鋼類に用いられる試験機の種類として、跳ね上がった高さを瞬時に目読する「C型」と、ダイヤルで表示する「D型」があって、 ハンマーの重さや試験機の構造は異なりますが、もちろん、どちらで測っても同じ硬さが得られるようになっています。
しかし、硬さ基準片を使用した場合の硬さは同じ硬さになるように調整されていますが、当社の経験では、特に大きな品物や薄い品物になると、 両者の差異が顕著になり、 試験機の違いによる硬さの差が出てきます。これは、硬さ基準片を基にして硬さを決めていますので、当然のことでしょうが、それに加えて、C型では読み取り誤差が出やすいという問題もあって、 当社では、平成年代以降は、測定時の値がはっきりと直読できる、ショアーD型に統一して使用しています。

ショアー硬さ試験機と同様に、反発の仕方を測定した「エコーチップ(商品名)」という、熱処理業界では比較的有名な測定器があります。先にも紹介しましたが、リーブ硬さ(HL)またはリバウンド式硬さ試験機ともいわれるもので、これは、鉛直でなく横方向などでも測定できるように、測定子を試料面に打ち出してその減衰速度からショアー硬さを求める試験機で、(当社でもそれを保有していますが)測定が簡便なこと、 その他の硬さ値を自動換算できること、 垂直面以外の測定ができる便利さはあること・・・などの利点はありますが、測定値の不安定さや誤差も大きく、 通常の熱処理試験用としては使いにくいという感じがあって、傾斜測定が必要な場合など、 特殊な場合以外はほとんど使用していません。これは、試験機の問題というよりも、「個人的な使用感」と言ってもいいかもしれません。

「ショアーは『ショアー』がない」(ショアーはしょうがない)とダジャレをいう人もいます。そういう「非常に不安定なもの」ですが 、 国際基準やトレーサビリティーも整っています。非常に変な言い方ですが、この「ショアー」がないと、商売がしにくくなるほど、当社にとっては、ショアー硬さ計は、非常に重要なものになっています。


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硬さと機械的性質

機械的性質とは、 品物に外力を受けた場合の抵抗力・耐久力などを言い、引っ張り強さ、圧縮強さ、衝撃強さ・・・などをさしますが、 硬さと機械的性質の関係は、 いろいろ試験されて各種のデータがあるために、「硬さを測れば、およその機械的性質 がわかる」という利点があり、 非常に便利です。

硬さの測定にかかる費用は、他の材料試験に比べて安価ですし、測定痕が残りますが、非破壊検査ですので、テストピースを作らなくても 、 直接品物を測定できるという点が非常に優れています。
もしも、何かの機械試験するとなると、試験片を作るだけでなく、いろいろな作業や検討が必要ですし、 機械試験のほとんどは破壊試験ですので、 再現性が乏しく、再現性もないので、硬さ試験の優位性は抜群でしょう。

硬さ値から引張り強さを推定することについては、経験的にも、かなり信頼性が高いものです。 (これは試験値をもとに換算表が 作られているので、当然なことですが・・・)

しかし、残念ながら、換算表には、硬さと引張試験値以外の換算値はありませんので、おおよその予想や推定ができるとはいえ、 部品寿命に影響するとされる「耐力」や「衝撃値」などの値を知りたい場合は、やはり個々に機械試験をしなければなりません。


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硬さの相互間の関係 換算表

HSとHRCの関係など、硬さ値相互の関係については非常に必要性が高いのですが、厳密に規定することは何らかの問題があるという理由でしょうか、 JIS規格化されていません。
しかし日本では、古くから「カタサ研究会」などで研究されていて、換算表についても「各種測定法による硬さの換算表に関する研究委員会」 で規格化の検討が行われているようです。規格化はともかく、現実問題として、硬さ換算の必要性は高く、商取引では常時行われており、 JISのハンドブックには、アメリカのSAE-J-417の 「硬さ換算表」が掲載されていることもあり、これが標準的なものとして日常的に使用されています。

この硬さ換算表に限らず、換算表の作成では、いろいろな硬さ測定データーを集めてそれを近似・補間して作成されますので、 数値の丸め方などで、基準になる硬さの取り方で、表の数値も違っています。

当社では、よく使うHRC-HSについて、 0.5単位で丸めるようにした第一鋼業製の硬さ換算表を作成しています。

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